目の病気
ドライアイ
ドライアイは、涙液の減少、蒸発あるいは涙液中のムチンの分泌異常により、涙量や質が不安定な状態となり、眼の表面に障害を生じる疾患です。
こんな症状を感じたら受診を
- 眼が疲れやすい
- メヤニが出る
- ゴロゴロする
- 重たい感じがある
- 眼が痛い
- 何となく眼に不快感がある
- 涙が出る
- 眼が赤い
ドライアイの治療法
ドライアイの治療法としては、点眼薬を用いる方法が一般的です。
【点眼薬】
- 人工涙液
- 保湿成分を含む点眼薬
以下の涙点プラグの方法でも治療することができます。
【涙点プラグ】
眼から鼻に通じる通り道(鼻涙管)の眼頭側の入り口(涙点)をシリコン製のプラグ(栓のようなもの)で塞ぎます。閉じた直後から劇的な効果が期待できる場合が多いです。

眼精疲労
単なる疲れの場合は一晩ぐっすり眠ると治りますが、眼精疲労は休んでも治らない状態です。
こんな症状を感じたら受診を
- 眼が疲れやすい
- メヤニが出る
- ゴロゴロする
- 重たい感じがある
- 眼が痛い
- 何となく眼に不快感がある
- 涙が出る
- 眼が赤い
といった眼の症状以外にも、
- 肩こり
- 頭痛
- 吐き気
といった体の症状、
- イライラ
- うつ病
などの心の症状をきたすことも少なくありません。
眼精疲労の原因
(1)矯正状態が不十分、あるいは、矯正度数が合っていない
- 近視、遠視や乱視、老眼など屈折異常を矯正しないで、無理をしている
- メガネ・コンタクトレンズの度数があっていない(過矯正・未補正・両眼のバランスが悪い)。
特に老眼の方に多く見られるのが、多様化している生活スタイルに対し、レンズ度数やレンズのタイプが合っていないことです。用途やお手元の継続作業時間に合わせて使い分けする必要があります。
(2)パソコン・スマホや読書などの近方作業、テレビやゲームなどでの眼の酷使
長時間スマートフォンやタブレットなどで近くのものを見続けることで眼の筋肉が緊張した状態が続き、若年層でも老眼のようにピント調節がきかなくなる症状を訴える方が増えています。最近ではスマホ老眼と呼ばれています。(医学用語では調節緊張(偽近視))スマートフォンは使用距離が15cm〜20cmと近いために、よりピント合わせの力が必要です。またスマートフォンの画面から発するエネルギーが強い光(ブルーライト)により、毛様体筋にも負担がかかるようです。
眼に合っていないレンズを使用し続け、眼精疲労を引き起こしているケースが多数あります。眼科では視機能の観点から多角的に視力測定を行い、その方に本当に合った、眼と脳に負担のないレンズをご案内しています。まずは眼科を受診ください。調節力をサポートするコンタクトレンズやメガネレンズもあります。
(3)ドライアイ
目の症状:目が赤い
1.病気によるもの
(1)結膜充血タイプ~しろ目(結膜)の充血により眼が赤くなるタイプ
① 特徴
- ● しろ目の周辺部分が赤くなります。
- ● くろ目に近づくほど赤色が薄れていきます。
- ● まぶたの裏側も赤くなります。
- ● 目やにや涙が出ることがあります。
② 注意点
- ● ウイルスが原因のものでは、非常に他人に感染しやすいです。
- ● 原因を判定するためにも早めに眼科を受診しましょう。
③ 主な病気
- ● アレルギーによる結膜の炎症です。
- ● しろ目の充血、かゆみがあり、まぶたの裏側も赤くなることが特徴です。
- ● 細菌やウイルスによる結膜の炎症です。
- ● しろ目の充血、目やにが多く出ます。かゆみは少ないです。
- ● ウイルス性の結膜炎は、非常に感染力が強いので、他人にうつさない注意が必要です。
(2)毛細充血タイプ~くろ目(角膜)の周囲が一番充血するタイプ
① 特徴
- ● くろ目から離れるほど赤色が薄れていきます。
- ● まぶたの充血はありません。
- ● 涙は出ますが、目やには出ません。
- ● 痛みをともなうこともあります。
② 注意点
- ● 緊急性の高い疾患が多いので早急の眼科受診が必要です。
③ 主な病気
- ● 細菌やウイルスによる角膜の炎症です。
- ● 強い痛みや視力低下を伴う場合もあります。
- ● 緊急性の高い疾患が多いので早急の眼科受診が必要です。
急性緑内障発作
- ● 緑内障の内、房水の出口が急にふさがれて眼圧が上がってしまうタイプの緑内障です。
- ● 治療が遅くなると、一晩で失明に至るケースもあります。
- ● 早期に治療を開始すると劇的に症状は改善します。
- ● 激しい頭痛、眼痛、吐き気などがあります。
- ● 瞳にライトを当てても瞳孔が小さくなりません。
- ● 白内障の手術をしていない高齢の方に多く見られます。
(3)結膜下出血タイプ~白目が真っ赤になるが、その他の症状があまりないタイプ。
① 特徴
- ● しろ目がべったりと赤くなります。
- ● 多少目がゴロゴロしますが、痛みはありません。
- ● 涙も目やにも出ません。
② 原因
- ● 結膜下の小さい血管が破れて出血したものです。
- ● くしゃみ・せき、過飲酒、月経、水中メガネの絞め過ぎなどでも出血します。
- ● 眼球内部に血液が入ることはなく視力の低下の心配もありません。
- ● 出血は、1~2週間ほどで自然に吸収されることが多いです。
- ● 自然に吸収されますので、ほとんどの場合心配はいりません。
2.外部からの刺激によるもの
- ①目にゴミなどが入った
- ②コンタクトレンズの調子がよくない
- ③屋外で長時間紫外線を浴びた
- ④目を強くこすった
- ⑤プールで泳いだ(消毒用塩素の刺激)
3.眼の疲れ
- ①長時間パソコンなどのディスプレイを見続けている
- ②寝不足が続いている
目の症状:健康診断で眼科受診をすすめられたら
健康診断で指摘される主な所見
- 1.視神経乳頭陥凹拡大、網膜神経線維層欠損 → 緑内障の疑いがあります。
- 2.眼底出血 → 糖尿病や高血圧の方に多い所見です
1.視神経乳頭陥凹拡大、網膜神経線維層欠損
- ・視神経が圧迫されて緑内障が潜んでいる場合があります。
- ・当院では、視野検査、OCT検査、散瞳後眼底検査等の緑内障の精密検査を実施します。
- ・検査診察を含めた所要時間は、約2時間です。
- ・診察代金は、保険診療3割負担で4,000円~5,000円が目安です。
- ・緑内障は早期発見が重要です。ご気軽にご相談下さい。
- 緑内障外来はこちら
緑内障に関してさらに詳しくはこちら
2.眼底出血
- ・糖尿病や高血圧などが原因で眼底の血管から出血します。
- ・当院では、散瞳後眼底検査等の精密検査を実施します。
- ・検査診察を含めた所要時間は、約2時間です。
- ・診察代金は、保険診療3割負担で2,000円~3,000円が目安です。
- ・レーザー等の高度医療が必要な場合は、連携医療機関の慶應大学病院、東京医科大学病院をご紹介いたします
アレルギー性結膜炎
1.アレルギー性結膜炎とは
アレルギーとは、本来自分自身を異物から守るために起こる抗原体反応が過剰に働いてしまい、身体に異常が起こることです。結膜炎は、一般的に花粉やハウスダストが原因となり起こります。最近は、コンタクトレンズの汚れが原因の場合も増えております。
2.アレルギー性結膜炎の特徴
- ● しろ目の周辺部分が赤くなります。
- ● くろ目に近づくほど赤色が薄れていきます。
- ● かゆみがあります。
- ● まぶたの裏側も赤くなります。
- ● 涙のようにサラサラした水状の目やにが出ます。
3.主なアレルゲン
- ● 植物・花粉…スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサなどの花粉
- ● ハウスダスト…ホコリ、チリ、ダニ、カビなど
- ● ペットなどの動物の毛…ネコ、犬などの毛
- ● まぶたの裏側も赤くなります。
- ● コンタクトレンズの汚れ
4.アレルギー性結膜炎の治療
- ● 原因となるアレルゲンの特定。
- ● アレルゲンから遠ざかる。(自宅の掃除、マスクの着用、コンタクトケアの徹底等)
- ● 点眼薬等の薬物療法で症状を緩和させる。
- ● まぶたの裏側も赤くなります。
- ● 人工涙液を点眼して、アレルゲンを洗い流す。
5.アレルギー性結膜炎の治療薬
(1)抗アレルギー点眼薬
- ● 点眼薬治療で一番選択されている点眼薬。
- ● 副作用は少ない。
- ● 花粉などの季節性の場合、花粉飛散期の2週間前からの点眼が有効
(2)ステロイド点眼薬
- ● 抗アレルギー点眼薬で効果の少ない方。
- ● 眼圧上昇などの副作用がある。
白内障
白内障とは
水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気です。
水晶体とは、目の中でカメラのレンズのようなはたらきをする組織で、外からの光を集めてピントを合わせるはたらきを持っています。
通常は透明な組織ですが、白内障では白く濁ってしまうため、集めた光がうまく眼底に届かなくなります。
白内障は様々な原因でおこりますが、最も多いのは加齢によるものであり、これを加齢性白内障といいます。
主な症状
- かすんで見える
- まぶしくなる 明るいところで見えにくい
- 一時的に近くが見やすくなる 眼鏡が合わなくなる
治療法
日常生活に支障がない程度であれば、点眼薬で白内障の進行を遅らせます。
これらの薬剤は、水晶体が濁るスピードを遅らせるもので、症状を改善したり視力を回復させることはできません。
日常生活に不自由を感じるようであれば、手術をすすめます。
緑内障
緑内障とは
何らかの原因で視神経が障害され視野が狭くなる病気です。白内障と並んで中高年の代表的な目の病気です。
中高年の20人に1人が緑内障を持っていることが予測されています。
緑内障の原因は、眼圧の上昇がその病因の一つとされています。
主な症状
一般的には緑内障では、自覚症状がほとんんどなく知らないうちに病気が進行していることが多くあります。
視神経の障害はゆっくりと起こり、視野も少しずつ狭くなっていくため、目の異常を感じることはありません。
急性の緑内障では、急激に眼圧が上昇し、目の痛みや頭痛・激しい吐き気等激しい症状を引き起こします。
治療法
最も重要なことは、早期発見・早期治療です。
一度障害された視神経を元に戻す方法はなく、病気の進行を食い止めることが目標となります。
病気の進行を食い止める為、眼圧を低くコントロールすることが有効とされています。
治療法としては、薬物療法・レーザー治療・手術が一般的です。
角膜感染症
1.角膜感染症とは
細菌やウイルスが目に感染し、角膜に炎症を起こす病気です。角膜感染症は、重症例では失明する可能性があり、治癒しても視力が低下してしまう場合もあります。眼病の中でも緊急性の高い病気であり、早めに眼科を受診することが大切です。
2.角膜感染症の特徴
- ● くろ目から離れるほど赤色が薄れていきます。
- ● 涙がポロポロ出ることがあります。
- ● 痛みをともなうこともあります。
- ● まぶたが腫れることがあります。
- ● くろ目が白く濁って見えにくくなることがあります。
3.角膜感染症の主な種類
(1)細菌による角膜感染症
- ● 細菌による角膜の炎症です。
- ● 細菌は、スマホ、お金など私達が手に触れるほとんどのものに常在しています。
- ● 免疫力があるので、通常は直ちに感染を起こすことはありません。
- ● 目の外傷、コンタクトレンズの過装用、ストレスや過労や、ステロイド剤の長期使用等で、体の防御力が低下していると角膜感染症が引き起こされます。
- ● 進行すると失明の可能性もありますので抗生物質での強力な治療が必要です。
(2)真菌(カビ)による角膜感染症
- ● 真菌とは、大気中や生活用水の中などに存在するカビ等のことです。
- ● 通常は直ちに感染を起こすことはありません。
- ● 目の外傷、コンタクトレンズの過装用、ストレスや過労等による免疫力の低下などで、体の防御力が低下していると角膜感染症が引き起こされます。
- ● 農作業時に樹木の枝や草葉で目を傷つけてしまい角膜感染症を発症する方も多くいらっしゃいます。
- ● 抗真菌点眼剤の種類は少なく、治療に長期を要する場合が多いです。
(3)角膜ヘルペス
- ● ヒトヘルペスウイルスによる角膜の炎症です。
- ● ヒトヘルペスウイルスは、幼少期に感染し、その後、神経組織に潜んでいます。
- ● 神経組織に潜んでいるヒトヘルペスウイルスがストレスや疲れや発熱などで免疫力が低下した際に活性化します。
- ● 紫外線や目の外傷もヒトヘルペスウイルスを活性化させます。
(4)アカントアメーバ角膜炎
- ● アカントアメーバとは、水中にすむ微生物です。
- ● アカントアメーバは、水道水や池にも生息しています。
- ● ソフトコンタクトレンズを水道水で洗う、ソフトコンタクトレンズをつけたままシャワーを浴びるなどの不正使用で、水道水内のアカントアメーバがソフトコンタクトレンズの中で繁殖し角膜に感染します。
- ● 夜も眠れないほどの激しい痛みも特徴です。
感染性角結膜炎
1.感染性角結膜炎とは
細菌やウイルスが目に感染し、結膜に炎症を起こす病気です。原因の判定は、とても難しいので、早めの眼科受診をお勧めします。
2.感染性結膜炎の特徴
- ● しろ目の周辺部分が赤くなります。
- ● まぶたの裏側も赤くなります。
- ● 目やにや涙が出ます。
3.感染性角結膜炎の主な種類
大きく分けて、細菌による感染と、ウイルスによる感染があります。
(1)細菌性結膜炎
- ● 黄緑色でドロっとした膿状の目やにが出ます。
- ● 原因菌は、インフルエンザ菌や肺炎球菌、黄色ブドウ球菌などです。
- ● 病気などで免疫力の落ちた人や子供には感染の危険があります。
- ● 抗生物質の点眼薬の点眼で、数日で治ります。
(2)ウイルス性結膜炎
- ● 白くネバネバと糸を引いたような目やにが出ます。
- ● 主にアデノウイルスの感染です。
- ● 感染してから1~2週間してから症状が現れます。
- ● 感染力が非常に強いので、注意が必要です。
- ● ウイルスに対する特効薬がないので、完治には2、3週間かかります。
- ● 症状が重いと角膜にダメージをうけ視力に影響することがあります。
- ● 感染力が非常に強いため、学校保健法で第三種に指定されており、感染の恐れが無いと医師が判断するまで出席停止になります。職場でも注意が必要です。